朝が弱いからこそ、夜は準備とチャージの時間に。〜インテリアスタイリスト・村上直子さんのナイトルーティン〜

自分自身のお手入れはもちろん、家族やまわりにいる人たちへのケアも大切にする。そんなコンディションを整えることに長けたプロフェッショナルたちは、一日の疲れや乱れをオフするためにどんな夜のルーティンを取り入れているのでしょうか。今回は、インテリアスタイリストや整理収納アドバイザーとして活躍する、村上直子さんにお話を伺いました。

片付けのプロだから、仕事モードのまま一気に家事をすませる

築27年の戸建てをご自身のアイデアでフルリノベーションし、お気に入りのインテリアとグリーンに囲まれながら、ご家族と二匹のネコと暮らす村上さん。

結婚出産を機に『アフタヌーンティー・リビング』を退職し、男の子二人の子育てに奮闘してきましたが、そんな中でも、大好きなインテリアや片付けについてブログで発信し続けてきました。やがて、ナチュラル系ブロガーの先駆け的存在となり、たくさんのメディアに取り上げられるように。「これが将来的に仕事になれば」という気持ちが強くなり、15年ほど前には整理収納アドバイザーの資格を取得。現在は、TVや雑誌、カタログなどのインテリアスタイリングや装飾美術、個人宅や会社に出向いて行う整理収納アドバイス、インスタグラムでのオンラインサロンの運営など、ご家族のサポートを受けながら、忙しい日々を送っています。

お子さんも大学生と高校生になり、平日も週末も関係なく仕事で忙しくしている村上さんにとって、家族でゆっくり過ごせるのが夜時間。仕事から帰ってきたら、まずはシャワーを浴びて全身すっきりさせます。

「仕事から帰ってきてすぐにシャワーを浴びると、気持ちもすっきりするし、シャキッと目が覚めるんです。それから、夜ごはんの支度に取りかかった方が効率的」と村上さん。シャワーついでにお風呂掃除までしてしまい、家族のためにお湯をはっておくことも多いそうです。

「私は“ながら掃除”が基本。洗面台で顔を洗うついででサッと掃除をしたり、夜に料理をしながらシンクまわりをちょこちょこ拭き掃除したり。仕事から帰ってきた流れでやってしまえば、“片付けモード”がまだ入った状態なので、やる気が続くような気がします。私の場合、夜にソファでだらんとリラックスしてしまうと、片付けモードもオフになってしまうので(笑)。

ながら掃除を習慣にすれば、朝出かける前は床掃除をさっとする程度でいいのでラクなんです」

朝がとても弱いという村上さんは、できるだけ夜のうちに家事や次の日の準備をすませるようにしているそう。そこで、朝の支度がなるべくラクになるために、また自分のこころとカラダをリラックスさせるために実践している、夜のルーティンを4つ紹介してもらいました。

夜のルーティン その1

カラダとお肌のメンテナンスをする

村上さんがお風呂前のルーティンにしているのが、タニタの体重計に乗ること。アプリと連動しているので、毎日の体重や体脂肪を簡単にデータとして記録することができ、体重管理のモチベーション維持に効果的だとか。

「50代になってきたあたりから、疲れやすくなったり、太りやすくなったりと、カラダの変化を感じています。また、肌の乾燥も気になるので、毎日お風呂上がりにパックをして、お肌と気持ちを潤しています。

匂いフェチなところがあって、いい香りがとにかく好き。眠る前には、お気に入りのアロマキャンドルを焚いたり、オイルで顔をマッサージしたり、ほっとできる香りを纏ってリラックスしています」

夜のルーティン その2

翌日のお弁当や夕食準備は、夜のうちに

清潔感のある白いキッチンと、味わいのあるアンティーク風の食器棚を組み合わせた、村上さんお気に入りの空間。ここに立つ時間は、夜が多いそうです。

「次の日、仕事で帰りが遅いとわかっている場合は、あらかじめ前日の夜に、ある程度の下準備をすませておきます。家に帰ってから仕上げをするだけでいいように準備をしたり、朝に電気圧力鍋の予約をオンにするだけの状態にしておいたり。また、主人が最後の仕上げをすれば食べられるように用意しておくこともありますね。

だいたい3〜4日分は、仕事のスケジュールを考慮しながら、食事の段取りを考えておきます。そうすることで、自分の時間をしっかりと確保できるようになるんです」

また、下のお子さんは毎日お弁当を持参するので、その支度もできるだけ夜のうちに。おかずを作っておいて、朝は詰めるだけにすることも多いそうです。

夜のルーティン その3

照明を落としてリラックスする時間を作る

家族で食事をすませたら、そこからはリラックスタイム。お気に入りのアロマキャンドルに火をつけて、間接照明だけで夜時間を過ごすのが、村上家の定番です。村上さんも、ここでオンからオフに切り替えるそう。

「我が家では、子どもたちが小さい頃から、眠る時間に向かって少しずつ照明を落としていく暮らしを実践してきたんです。スウェーデンなど北欧の国では、眠る前は間接照明にするそうですし、『フィーカ』と呼ばれるお茶の時間を大切にする習慣もあると聞き、そういう暮らしを取り入れてみたいと思って。

私自身、日中はすごくバタバタ動き回っているので、夜は照明を落とすと気持ちも落ち着きます。眠る前には、スマホを見るのもできるだけ控えていますね」

やわらかな間接照明の中、ソファに座って雑誌や本を読んだり、ご主人とお茶を飲みながら一日あったことを話したりと、ゆるりとした時間が流れます。

夜のルーティン その4

明日着ていく服を選んで、リビングにかけておく

次の日に着ていく服は夜にうちに選んでおき、洗面所と身支度をする鏡の近くにかけておくのが、眠る前のルーティン。お天気アプリで次の日の天気や気温などを調べておいて、夜の時間があるときに、ゆっくりコーディネートを考えることができます。こうしておけば、朝に時間がなくてバタバタしていても、焦ることなく準備ができるそうです。

毎日忙しく、また朝が弱いからこそ、夜の時間を上手に使っている村上さん。翌日の食事や服の準備などを効率よくテキパキとこなした後は、スイッチを一気にオフにして、ゆったり過ごす夜時間を大切にしています。間接照明やお気に入りの香り、リラックスアイテムをうまく取り入れることで、オンとオフの切り替えをナチュラルにされているようです。

コラム

My Favorite〜毎日を快適に過ごすために〜

窓越しに、家族が帰ってくるのが見えるデスクで

家のなかで特にお気に入りの場所は、リビングの一角に作ったデスクスペース。もともとは玄関からリビングに入る扉があったところを、あえてデスクスペースにしたそうです。

「自宅サロンで招いたお客さまに、玄関にあるこの小さな窓からリビングを覗いて、ワクワクしてもらいたかったんです。そして、この窓はリビング側からも大活躍。デスクに座ってパソコン仕事をしていると、家族が帰ってくるのが見えます。特に子どもが小さい頃は、学校から帰ってきたら、すぐ顔が見えるので安心していましたね」

プロフィール

村上直子/Naoko Murakami

インテリアスタイリスト、整理収納アドバイザー。『アフタヌーンティー・リビング』勤務後、結婚出産を経て、現在はコンサルティングやセミナー、雑誌などで活躍中。村上家のインテリアを見ながら収納と整理を学ぶ「おうちサロン」も人気。著書に『子どもとすっきり暮らすシンプル収納ルール』(PHP研究所)。私生活では、21歳と17歳の2人の息子をもつ母。

Instagram:https://www.instagram.com/kikiuchireset/?hl=ja

 


 

ライター/内田あり

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。夫と大学生・高校生の姉妹と4人暮らし。

(取材日:2023/10/4、 取材地:村上直子さんのご自宅、 編集:武田明子 撮影:田尻陽子)